2013年12月7日土曜日

006: 殺戮にいたる病 ★★★★☆



2013/12/07 読了
映像化:なし(?)
(感想)
叙述トリックのサンプリングとしてはかなりイケてる。先に読んだ葉桜・・、イニシエーション・・は完全に及ばない。制作年代的にもこちらが先だから彼らには本作を超えられなかったということだ。私の中では。

|ミスリード

最後まで完全にミスリードされた。ミスリードの重要な要素は蒲生雅子の視点だ。彼女の視点なしには実現できないだろう。いわゆるホームズに出てくるワトソン君、的な感じがしないでもない。あえてね。

そして、「一体次はどうなるんだ」と常にハラハラさせる展開に、先を読みたくなる衝動はずっとマックスに張り付いていて、強引な斜め読みを繰り返してしまった。

|テンポとラストスパート

全体を通しての高速感のあるテンポが非常に良かった。
特に、フィナーレとなる第10章に差し掛かると、もう何があっても読み切ってしまわなければならないという義務感すら感じてしまう位だ。このラストスパートかけて更に加速してくる感じは一体何だったんだろう。(※恐らくこの感覚は冒頭のプロローグが効いていると分析)

また、いわゆる伏線を拾いながら犯人を探し当ててゆく推理小説とは赴きが異なるが、最後のどんでん返しの展開には、その内容の半端ないえげつなさに反比例し、むしろ爽快さが漂ったほど。

|グロさについて

評価として★が1つ少ないのは、グロさ。ちょっとね。
 まぁ、ミステリーを楽しむのに中途半端な道徳感情は邪魔なだけかもしれないが、人間にはそんな微妙な葛藤があるからこそ、この手の作品の中に存在する現実を、エンターテインメントとして受け止めることが出来きるのだというところはわかっているつもり。それにしても・・・

また、トリックはどうであれ、この作品に込められている意味は、冒頭に引用されている"キルケゴール"の文章に集約されている。この一文を当時の社会背景に照らして形にしたということか。。。

|成果

ハイテンポな文章テイストに加えて、トリッキーな構成と叙述トリックの組み合わさった構造は非常に学ぶべき点が多い。素晴らしいインプットだった。

(以下メモ)
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構造理解(起承転結)

結1
殺現場のラストシーンにおける、最後の結末の一歩手前までの描写


1章〜2章
主要登場人物の視点でそれぞれの内面、それぞれのつながりを俯瞰で認識する段階。ただ蒲生実だけは他の登場人物との同じ時系列では進行しない。
#蒲生実
#蒲生雅子
#樋口武雄


3章〜4章
蒲生実の犯罪は時系列をずらしながら着々と進行している。
相変わらず上記3名の視点で進行
次第にそれぞれがつながってくる


5章〜10章後半まで
樋口と(◯◯の妹)が事を始める頃から展開のスピードに拍車が掛かる

結2
10章最後
最後のどんでん返しのシーン。ここで冒頭のシーンの全ての意味が理解出来る。


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